014 【卒業】
麻布学園、無事卒業。六年間は早い!制服の無い我が校で講堂が黒で埋め尽くされたのは入学式以来。勿論僕もスーツで出席。人生初ネクタイ、苦しい。
筆者。一時期を除いて高校生活中ずっと金髪でした。妹は黒髪の僕を知らない…。
会場は終始明るい雰囲気だった。が、やはりどこかに静かな郷愁が漂う。まるで僕ら自身を悼むように。不慣れなスーツが喪服に見える。
なんだかんだで悲しい。何がって、勿論楽しかった学校生活にさよならを告げなくてはならないこと、そして級友らに会えなくなること。特に地方へ行く奴らは顔を合わせることすら難しくなる。でも何より悲しいのは、悲しみを噛み締められなかったこと。
話半分で聞いていた送辞は「別れ」を「門出」と表現していた。なるほどこの寂しさもある意味では成長か。そこら辺のJpopもよく言っている。「別れは新しい出会いの時!」。でも残念ながら赤門をくぐることができないだろう僕は、彼らと別れたままもう一年足踏みしなくてはならない。辛い。受験が終わってしばらくした今、ようやく現実を直視し始めているのかもしれない。先が思いやられる。ここから先一年間本当に耐えきれるかどうかは神のみぞ知るところか。いや、誰にもわからない(無神論者)。
そんなこんなで友との別れもそこそこに、暗い先行きに思いを馳せる一日となってしまった。それにしても、卒業と受験が重なるのは随分と酷だと思う。日々を大切にする暇もなく勉強に勤しみ、終わった後は結果発表目前。もう少し余韻に浸らせてくれや文科省。
祝ったし、嘆いた。それでも時間は淡々と進んでいく。自己憐憫に浸る暇は無い。喪服を脱ぎ捨て、パジャマに袖を通す。これから一年付き合っていく薄っぺらな制服が、柔らかく僕を包む。着心地は悪く無い。
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